割増賃金とは、労働者が法定労働時間を超えて働いた場合や、
深夜・休日労働を行った際に、通常の賃金に上乗せして支払われる追加の賃金のことです。
割増賃金を計算する際の基礎となる賃金には、含めるべき手当と除外できる手当があります。
除外できる手当としては、労働基準法施行規則第21条で定められている7つの項目があります。
これを正しく理解しないと、賃金の不払いとなる可能性があります。
本コラムでは、割増賃金の基礎賃金に含まれる手当と除外できる手当、
そして適切な労務管理のための対策について詳しく解説します。
【割増賃金の基礎から除外できる手当】
割増賃金の計算において、以下の7つの手当のみは基礎賃金に含めなくてよいとされています。
1. 家族手当
扶養家族の人数や状況に応じて支給される手当です。
扶養家族の有無に関係なく一律に支給される場合は、基礎賃金に含める必要があります。
2. 通勤手当
実際の通勤距離や費用に応じて支給される手当です。
一律に支給される場合は、基礎賃金に含める必要があります。
3. 別居手当
業務の都合で家族と別居することを余儀なくされた労働者に対して支給される手当です。
4. 子女教育手当
子供の学齢や在学状況に応じて支給される手当です。
一律支給の場合は基礎賃金に含める必要があります。
5. 住宅手当
住宅に要する費用に応じて算定される手当のこと。
家賃やローン額に応じた補助は除外対象ですが、一律支給の場合は基礎賃金に含める必要があります。
6. 臨時に支払われた賃金
結婚祝金や災害見舞金など、労働の対価とは直接関係のない賃金です。
7. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
ボーナスなど、1か月を超える期間の成績等によって支給される手当です。
【結論】
割増賃金の計算において、基礎賃金に含める手当と除外できる手当を正しく理解し、適切に区分することは、
企業のコンプライアンス管理にとって不可欠です。
給与の不払い状態を生み出さないためにも確認しておきましょう。